ビタミーナ王国物語

環境破壊をせつせつと訴えかけるRPG(!!!??)

1992年、ナムコからゲームボーイで発売されたRPGです。あの大メーカーから発売されたわりにはグラフィックのレベルが低く、当時の他のゲーム
と見比べてみても明らかに見劣りしますが、それでもこのゲームは妙に不思議な魅力をビンビン放ってます。その魅力の源はズバリ奇想天外な
発想力です。まず、衝撃のオープニング。左上の画像がそうですが、謎のばばあが謎の暗殺者に追われているところからゲームがスタートします。
ちなみにこのばばあ、「ババロア」という名前がちゃんとあります。ババロアはこの暗殺者と一戦交えますが歯が立たず、我々三次元の世界へ逃げ
てきます。ちょうどその頃、このゲームの主人公となる我々三次元世界のある少年は、お父さんと一緒に森の汚染度を確かめにある森へとやって
きました。お父さんは先に一人で森の奥に行ってしまい、主人公の少年イート君が一人で待ってるところにさっきのばばあと暗殺者が現れ、イート君
はその戦いに巻き込まれ、異世界のビタミーナ王国に飛ばされてしまいます。ここからゲームが本格的に始まります。
元の世界に帰るための方法を探すために旅に出るのですが、いつの間にかこの世界を支配している魔王「てんかぶつ」と戦うハメになっていきます

 

このゲーム、発想はかなりバカっぽいものの、ゲームバランスはえらい丁寧に作られていて、さらに
芸も細かいです。戦闘中、ずっとコマンドを入れないでいると、敵は次から次へと不意打ちを仕掛けて
きますし、さらに独特なのはこのゲーム、コマンド入力という概念がありません。Aボタンを押すと打撃、
十字キーの4方向に魔法を組み込む事によって戦闘中にそのボタンを押すだけで自動的に魔法が発動
します。なんか時代の先取りしてます。64やキューブにはこの手のシステムがポケモンスタジアムとかで
使われてますし。さすがナムコ!!さらに、一部の敵にはアニメーションも組み込まれていて、いい感じ
です。中古で売ってたら買ってみてやってみる一見の価値はあると思います。今でも好きな人は結構
このゲーム専門のホームページを展開しているくらいですから。

 

 

追記:この暗殺者がイート君が最初に戦う異世界の魔物です。こいつはここで一度イート君に敗れて
逃げていきますが、ゲーム終盤にもう一度剣を交える事になります。しかしその時も名前はあいかわらず
「アンサツシャ」。しかも暗殺隊隊長のカドミウムより強いです。でもこんなせこいのが最後から2番目の
ボスだという展開にも思わず吹き出しそうになりました。せめてもうちょっとマシな名前を与えてやれよ…

 

 

このゲームはネーミングセンスもすごい。キャラや魔法の名前は全て野菜や食べ物からきています。一部有害物質などからもきてますが・・。
全部あげるとキリがないので一部しかあげませんが、「レンジ」、「サルモネラン」、「ハクサイ伯爵」、「ミスターカニカマ」、「カイセン村」、「ヤカン村」、
「コンダンテの森」、「ママプリ」、「パパプリ」などなど・・。イベントも変なものが多いので笑えてきます。激辛カレーを食べて村人全員が走り回ってる
変な村や、異常に強いのに、何故か黒ペッパーをふりかけると滅茶苦茶弱くなるマミズリュウ、なぜか巨大なレコード盤があるレコード工場、
なんかこの世界に似合わないやたらとかっこいい(?)登場シーンのある暗殺隊隊長カドミウム等、見所は盛りだくさんです。ちなみにこのゲーム、
終盤で明らかになりますが、魔王「てんかぶつ」率いる魔物の軍団は全て我々三次元世界の人間だという衝撃的な事実が発覚します。
現実世界で処理しきれないゴミをこの世界に送り込み、三次元世界をきれいにするというのが「てんかぶつ」の目的だったようです。薬物中毒患者
の町まで出てきてなんか後半はギャグなのかシリアスなのか分からない展開になってきます。環境破壊がテーマかと思うと、「てんかぶつ」は弱肉
強食の論理まで語りだしてきたり、この1本ずれたシナリオはまさに宝と言えるでしょう!この文章では何が書いてあるのかさっぱり分からない人も
いると思うので、もし興味があったらこのページ最下部のURLから飛べるページをご覧になられたらよくお分かりになると思います。
しかしこのゲームに出てくる敵はフライドチキンを両手に持ったピエロやら、ボンレスハムのゾンビ、やきとりおとこといった変な敵ばかり。我々
三次元の人間って一体・・・。ちなみに武器の名前も「ソーメンソード」だったり、大笑いする事うけあいです。

最後に:このゲーム、ヒロインが5人登場します。エーナ、ビーナ、シーナ、ディーナ、イーナの5人です。これもまたアルファベッドのABCDEから名前
をつけただけの安直な・・、いやいや誰も考えが及びもしないステキなネーミングセンスに溢れるヒロイン達ですが、なんとエンディングでは、自分の
好きな娘と婚約が結べます。今日のギャルゲーを遥か以前に先取りしていたナムコの先見の明には拍手を送りたくなります!!しかし、このゲーム
はヒロイン5人だけで満足しているようなゲームではありません!!男と婚約する事も出来ますし、あのオープニングで大活躍のばばあ「ババロア」
と結ばれる事も可能です!!「死んだじいさんには顔向けできんのお。でも選ばれたからには・・。」と、なんか恐ろしい事をほざいています。
男キャラでも同様の事を言うのでなお恐ろしいですが、考えてみればばばあと男、どっちの方が怖いだろう?まだステキなおばあさんならハウルと
ソフィーのように上手くいくかもしれませんが、ババロアは色んな意味で怖いです。甲乙がつけがたい・・。
さらに王様の愛するお妃を奪ったり、もう婚約が決まってるビーナ姫の婚約を世界を救った英雄の権限で取り消す外道な事まで出来ちゃいます。
ほんと、なんでもありだ・・。このゲーム。名作とは言い難いですが、ある意味、色んな意味では傑作の部類に入るRPGであることには間違い
ありません。戦闘バランスもいい方なので、案外当たりのゲームだと僕は思っています。
ちなみにローソンの書き換えシステムにエントリーされてた事もありました。

 

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