即身成仏豆知識

 

高温多湿の日本で、しかもエジプトのように死後処理なくミイラになるためには、
準備段階で5穀、次に10穀を断って、
みずから自分の体から水分や脂肪を抜いて、死後の内臓の腐食を防ぐ必要がありました。
そして土中に生きながら埋まり、読経と鐘で生存を知らせ、
それがなくなるときが入定(死)と言われます。
そういう想像を絶する苦行の末にミイラとなった遺体が日本には約20数体存在します。


 このミイラを「即身仏」と言いますが、実は空海のいう「即身成仏」とよく誤解されています。
あるいはミイラになった高僧本人たちも混同していたかもしれません。

 空海が自身の記した「即身成仏義」の中で、
「いわく身とは我身・仏身・衆生身、これを身と名づく」
そして、三者は「不同にして同なり、不異にして異なり」と言っています。
成仏とは「仏に成る」ことではなく、「仏であること」、を意味し、空海はこの原義を正しく理解していたと言われています。


 仏陀の叡智や慈悲は釈尊がつくりだしたものではなく、釈尊が見出した普遍の法でした。
そのことは釈尊自身が明言しています。
普遍の法は宇宙に遍在しているものである。
 ならば、それは我が身のうちにも、すべての衆生にもそなわっているはずである。
そうであればこそ、一切衆生は救われる。
 これが空海の即身成仏であり、物理的にその存在を残すことではないようです。
ただ高野山には誰も見た事のない奥の院に、空海がいますという信仰があり、
千年以上にわたっていまだ食事が毎日供されているそうです。
そうしたことがひとつの原因になったのか、自らミイラ(即身仏)となった高僧には空海の「海」の号が与えられています。

 

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